動画投稿サイトに挑戦、斬新なアイデアで億のお金を目指す先輩

動画投稿サイトに挑戦、斬新なアイデアで億のお金を目指す先輩

日曜日の埠頭、平日なら大型のコンテナ車が行き交う所なのですが今は気持ち悪いくらい静か。

3日ほど前、私の先輩が「ネット副業をやるから手伝え。

当れば億の金が手に入る。」と言って、この場所に私を誘うのです。

一瞬、反社会的な事をやるのかと心配になりましたが、真面目な人なので承諾しました。

待ち合わせの時間から先輩が遅れる事30分、スクーターに乗って参上したその姿は異様。

茶色い全身タイツに赤く鼻を塗って、まるで角のないトナカイ。

「何ですかその格好は?」と聞くと「インパクト」と噛み合ったような合ってないような返答が帰って来ました。

確かに衝撃的ではあるのですが笑いをこらえるのが精一杯でした。

スクーターから飛び降りた先輩は、顔の横のタイツの隙間に手を入れの胸元にしまっていたメモ帳ををまさぐり出し、今回のネット副業にかける意気込みを語り始めました。

まとめると「動画投稿サイトに馬鹿な事やってアップロードしよう」という何番煎じか分らないような話を30分熱く語りました。

私は今日の人生、すでに1時間が無駄になった事に些かの怒りを覚えましたが笑顔で「コントでもやるのですか?」と聞くと「いや、スタントマン」とトナカイは眼光鋭く言い放ちました。

これは冗談であってほしいと願いましたが先輩は本気でした。

「今から、時速20kmで走って海に飛び込む、おまえが撮れ」と、どうやらカメラは私のスマホのようです。

スクータごと飛び込む、確かに馬鹿げて注目を浴びるかも知れません。

しかしそれは迷惑行為でしかありません。

「ネット副業に廃車は勿体ない。」と言って先輩を諭すと「誰がそんなありふれた企画をやるものか!両手を広げてブーンって言いながら走るんだよ!」と言いました。

「勝手にやれ。」そう言いたかったです。

そして撮影開始、岸壁を勢いよく海に向かって走るトナカイ。

すると海までギリギリの所でピタッと止まり。

「高い、落ちたらヤバいわ。」と言い始め見ました。

今は干潮で水面まで3mはあるでしょう。

しばらく波打際を眺めていましたが「池でやろう」と言ってスクーターに乗ってさっさとトナカイは行ってしまいました。

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